
病気やけが、出産、障害、死亡、加齢、失業といったように、私たちは社会のなかで生活していく間、さまざまなアクシデントやリスクにぶつかることがあります。生まれて一度も、病気にならない人やけがをしない人は、絶対にいないと思いますし、この世に生を受けた以上人は必ず亡くなります。
しかし、これらの生活上のリスクに遭遇すると生活していくことが、リスク遭遇前と比べ難しくなります。病気やけがをしてしまうと仕事ができなくなる可能性がありますし、できたとしても病気やけがをする前と比べるとこなせる仕事量が減ります。仕事そのものができなくなった場合であれば、生活していくうえで必要な収入が減る一方、病気やけがの治療代が必要となり、収入が減るにもかかわらず支出が増えるという最悪のパターンになってしまいます。
社会保障というのは、こういったリスクによって起こりうる生活上の貧困を予防することや貧困で苦しんでいる人を救い、国民の生活を安定させることを目的として国家や地方公共団体などが所得の移転によって所得を保障したり、医療や介護といったサービスを給付することや、制度を指しています。自分自身の努力だけでは対応することのできないような、社会的あるいは経済的な問題が生じたとき、幸せな生活を営むことができる権利を国が保障するために生まれた制度なのです。
日本国憲法の25条は、比較的有名かと思いますが、いわゆる生存権について規定がなされています。1項では「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とし、2項では「国は、すべての生活部面につて、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めています。1947年に施行された憲法において、初めて社会保障という言葉が明らかにされ、この25条によって「国民の生存権、国の保障義務」という形で社会保障が規定されているのです。
条文の2項を読んでみるとわかるのですが、ここでは、社会福祉、社会保障、公衆衛生の3つが併記されています。しかし、それぞれの意味や目的、定義といった部分が明確にされていなかったため、その関連性や定義はあいまいなままでした。
あいまいな、社会保障制度の目的を明らかにしたのが、1950年に社会保障制度審議会による「社会保障制度に関する勧告」です。これによって、社会保障制度は、社会保険、国家扶助、公衆衛生および医療、社会福祉の4つを統合して実施することを目的としていると明らかになりました。




[1]このページのトップへ
[2]ホームへ戻る

©社会保障
All rights reserved.